2005年10月03日

心臓に収縮を起こす刺激伝導系

 心臓に収縮を起こす刺激伝導系のしくみについては、次のようになっています。

■ 自力で収縮を繰り返す心臓

 心臓の動きは、私たちが意識して止めることができません。心臓は、大脳などの中枢神経からの指令がなくても、自らの力で収縮を続けることが出来ます。この性質を自動性といいます。

 心臓の筋線維の一部には、特殊心筋線維と呼ばれる線維があり、これがまるで神経のような働きをしています。その一部からは、心臓の筋肉を収縮させるための電気的な刺激が自動的に発生しており、さらにその電気的刺激を心臓全体に伝える電線のような働きをする線維が張り巡らされてあり、心臓に正確な収縮を起こしています。このしくみを刺激伝導系といいます。


■ 電気的刺激の発生と心房の収縮

 刺激伝導系に最初に電気的な興奮が発生するのは、右心房にある洞房結節というところです。洞房結節は 20 × 5mm ほどの組織で、これが心臓の収縮のペースメーカーとなっています。洞房結節からは、通常1分間に 60 〜 70 回程度の電気的刺激が発生しています。

 洞房結節で電気的刺激が発生すると、そのすぐ隣の細胞へまたその隣へと、心房全体に波が広がるように素早く電気的刺激が伝わっていきます。洞房結節から心房全体へは、電気的刺激を伝える電線のような線維はありません。

 洞房結節からの電気的刺激が広がって、左右の心房が収縮すると、心房から心室へと血液が送られます。


### 心房の収縮のメカニズム ###

@洞房結節から電気的刺激が発生
A心房に電気的刺激が伝わる
B心房が収縮する
C心室に血液が流れ込む


■ 電気的刺激の伝達と心室の収縮

 心房と心室の境目には、房室結節という、電気的刺激の中継点となる組織があります。心房全体に伝わった電気的刺激がこの房室結節にも届くと、そこから左右の心室へと電気的刺激が伝わります。房室結節からは、ヒス束という線維の束が心室中隔に伸び、すぐに右脚と左脚の2つに分かれて、それぞれが左右の心室へと枝分かれしながら線維を伸ばします。さらに、その先は、プルキンエ線維という細い線維に分かれており、心室の心筋の中や、弁につながる乳頭筋などに分布しています。

 このように、房室結節から先へは電線の働きをする特殊心筋線維があるので、とても速いスピードで電気的刺激が伝わります。そのため心室全体はほぼ同時に収縮し、大きな収縮力を発揮することができます。

 心室の収縮によって、右心室から肺動脈を通じて肺へ、左心室から大動脈を通じて全身へと、一気に血液が送り出されます。


### 心室の収縮のメカニズム ###

@房室結節に電気的刺激が届く
Aヒス束、右脚、左脚を伝わって、電気的刺激が心室全体に伝わる
B心室が収縮する
C心室から大動脈・肺動脈へ血液が流れ出す


■ 心電図に記録されるもの

 心電図とは、心臓に発生する電気的変化を記録したものです。

 心臓には自動性があり、心臓自体が電気的刺激を発生させて動いています。この心臓の電気的な変化を、胸や手足につけた電極で検知して記録すると、ドキュメンタリーや医療ドラマでの心電図に見られるような波形が得られます。

 はじめの小さい P 波は心房に電気的刺激が広がる様子を、次の大きく鋭い QRS 波は、電気的刺激が心室に一気に広がる様子を、最後のゆるく大きい T 波は、心室の興奮が回復していく様子を示します。

 刺激伝導系にトラブルが起こると、この心電図に変化が表れます。その変化の特徴を見ることで、心臓のどの部分に問題が起こっているのかを知ることができるのです。
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