2005年08月03日

脳の発達と老化

 脳の発達と老化については、次のようになっています。


■ 胎児期から生まれるまでの脳の発達

 神経系は精子と卵子の受精から2〜3週のころにつくられはじめます。背中側の一部が厚くなって神経板となり、それが徐々に体に埋もれながら丸まって、やがて管状の神経管になります。これが脳や脊髄へと発達していきます。

 大脳は妊娠2ヶ月ころから急速に発達し、妊娠6ヶ月のころからは脳の表面にしわができはじめます。妊娠7ヶ月ころには大脳、小脳、脳幹が分かれて、胎児も体内で意識的に体を動かすようになるといわれます。妊娠8ヶ月ころには聴覚がほぼ完成し、外からの音にも反応するようになります。

 生まれたときには、嗅覚や味覚、触覚はかなり発達しています。視覚だけは発達が不十分です(ぼやけて見える)が、近くの人の顔などをじっと見つめたりすることはできます(ぼやけた状態で見たり認識している状態である)。


■ 生まれてからの脳の発達

 大脳皮質には約140億個の神経細胞があります。生まれたときにすでにこれだけの数を持っており、生後増えることはないと考えられてきました(最近の研究により、環境や日常生活により増えたり減ったりすることが判明)。しかし、生後間もない乳幼児の脳の重さは350g前後であるのに対し、一方の大人の脳は1300〜1400gです。この重量の発達は、神経細胞が軸索と樹状突起を伸ばして、神経細胞どうしがたくさんのシナプスを形成するためです。また軸索に髄鞘が形成されることも、脳の重さを増やす理由の1つです。

 脳は、生後から6〜8歳ころまでの間に急速に発達し、そのころには脳の重さも大人の90%程度にまで増えます。それ以降は、ややスピードをゆるめて発達を続け、20歳ころにはほぼ完成レベルに達します。


■ 脳を発達させるもの

 体を動かす、言語を理解し話す、ものごとを記憶して考え判断するなどの高度な活動は、神経細胞が個々に働くのではなく、神経細胞どうしが複雑なネットワークをつくって互いに情報をやりとりすることによって行われます。

 生まれたばかりの乳幼児は神経細胞どうしのネットワークが未完成ですが、さまざまな刺激を受けることで、急速にそのネットワークを発達させていきます。人とのスキンシップ(触覚)、言葉や音、色やにおいによる刺激、周りの人からの愛情など、子供にとって望ましい刺激が多いほど、神経ネットワークはよりよく発達していきます。


■ 年をとると知能は衰えていくのか?

 20歳を過ぎると1日に何万個もの神経細胞が壊れていきます。脳の体積のピークは20代後半で、それ以降は少しずつ減少していきます。高齢になると15%以上も減少することがありますが、脳の病気、或いは、過度のストレス負荷・免疫不全などから誘発される慢性性疾患などでない限り、知能が低下することはありません。

 神経細胞どうしのネットワークは20歳前後でほぼ完成しますが、それ以降もさまざまな刺激を受けて発達を続けます(これを生涯発達という)。また、不要なネットワークは整理され、より効率よく情報処理ができるようになっていきます。

 個々の神経細胞は壊れても、神経ネットワークが充実するために、その機能は維持され、または発達することができるのです。ただし、体力や視力、聴力などの衰えが、運動機能や知的活動などに影響を及ぼすことがあります。
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Excerpt: 発達心理学心理学における発達(:en:development)とは、一般に受精から死に至るまでの人の心身、及びその社会的な諸関係の量的及び質的変化・変容をいう。外国語の development、あるい..
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